カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社による『若者のライフスタイルに関するアンケート調査(2019年)』によると、若者の悩みとして1位は「お金に関すること」となっています。
会社員の給料は増えないことに加えて、そこから差し引かれる社会保険料は増加傾向にあり”手取り収入”が増えるのは厳しい状況にあるといえます。
そのためには、大きな支出を削減し、お金に対するこれまでの発想の転換が必要になるでしょう。
親世代と同じライフスタイルを考えてはいけない

かつての日本は、経済が右肩上がりで成長していたため会社員の給料も上がり続けいました。
したがって、住宅費や教育費については特に意識することなくお金を貯めていなくても問題ありませんでした。
また、経済成長や人口増加を前提としていた公的年金制度もうまく機能していました。
しかし、その前提も崩れてしまった今、20代・30代の人は高齢になったとき、公的年金だけで生活するのが困難になる可能性が非常に高くなっています。
毎月の収入を無計画に使っていると一番必要なときにお金がたりないという事態になりかねません。 あまり考えもせずに親世代と同じようなお金の使い方をしていると大変なことになってしまいます。
人生の5大支出を見直す

人生の5大支出とは一生涯のうち支出額の大きいものです。以下に5大支出を示します。
私たちの親世代は、人口増加と経済成長という力強い後押しのおかげで、このような5大支出をそれほど苦労することなくクリアすることができました。
経済全体が右肩上がりを続け、終身雇用・年功序列賃金のもと住宅費や教育費も問題なく支払うことが可能でした。
このような時期には、若いうちのローンを組んで快適に暮らすために住宅を購入することは合理的であったかもしれません。
さらに、地価もぐんぐん上昇していたため古い家を売って新しい家を手に入れることも、必要なくなった土地や建物を売却して儲けることも可能でした。
また、住宅ローンが残っていても退職金でローンを返済し後は年金で生活をするというライフスタイルが確立されていました。
したがって、それほど多くの老後資金を貯めておく必要もありませんでした。
日本のような少子高齢化による人口減少とそれに伴う経済の低成長の中で、どのように暮らしを変えていけばよいのでしょうか。5大支出について考えてみます。
住宅は賃貸を選択肢に
住宅費については持ち家に拘らず、賃貸住宅を選択肢に入れるということです。
終身雇用・年功序列を前提とした住宅ローンを組むのは非常に危険であると思います。 先日、経団連の中西会長が「終身雇用は守れない」と発言しました。
また、大手企業においても早期退職制度という名のもと一定年齢以上の従業員のリストラを行っています。もはや大企業であるから安定などという時代は終わっています。
ローンを組んで住宅を購入する=借金をして巨額な金融商品を購入するのと同じことです。
これまでとは取り巻く環境が異なり、サラリーマンの支払い能力も安定しなくなっているのにも関わらず長期の住宅ローンを組むべきではないでしょう。
一方で、賃貸住宅は年を取ると借りることができなくなると考えている方もいると思います。
その点について、私は心配していません。なぜなら、今後さらに高齢者であふれる日本では、高齢者向けの賃貸住宅市場が伸びると考えているからです。
車は所有するものではなく使用するもの
車は購入の際のイニシャルコストが非常に高いですが、毎年かかるランニングコストも問題です。車を持たないという選択肢も考えておくべきでしょう。
車体価格のほかに、自動車取得税や自動車重量税、自賠責保険、任意保険料など別途かかります。さらに、走行距離に応じたガソリン代やタイヤ代、オイル交換代、車検代、駐車場代などが必要です。
このように車は所有するだけでコストが非常にかかります。そこで、車は”所有”から”使用”へ発想を転換してみましょう。そこでオススメなのがカーシェアリングです。
カーシェアリングとは、必要な時に自由に車を使えるサービスのことです。
車を借りるという点では、 レンタカーと似ていますが、一般にレンタカーよりも短時間の利用を想定しています。
利用者にとっては、レンタカーよりも便利で安く利用できることが多いのが特徴です。
車を所有しなくても、割安で利用できるシステムが整備されています。工夫次第で車にかかるコストを大幅に削減することができます。
保険は本当に必要かを考える
保険というものは、予期せぬことが起こったときに対応するために入るものです。万が一のときのリスクを回避することが本来の目的です。
一方で、保険は人生において必須の買い物といった先入観が社会に根付いているように感じます。保険は大きな買い物であり、本当にその保険に入る必要があるのかを考えるべきです。
そもそも保険とは、病気や事故に遭ったときにお金を受け取る仕組みになっています。
病気にかかることや事故に遭うこと自体不幸なことなのに、反対に健康で居れば賭けたお金は戻ってきません。このように、保険が役に立つときとは不幸なときであり保険は損な賭といえます。
また、健康保険には、高額療養費制度があり医療費の自己負担には、あらかじめ上限が設けられています。
本人の収入にもよりますが、平均的な年収の方なら100万円の医療費なら8~9万円程度の自己負担で済みます。
さらに、医療保険についても医学の進歩により入院日数の減少傾向が続いています。繰り返しになりますが、保険に加入することが本当に必要なのかを検討する必要があります。
教育費は計画的に準備する
教育費は将来進む進路として私立か国立か、文系か理系かで必要なお金が変わります。
後になればなるほど教育費はかかります。したがって、比較的教育費のかからない小中学校時代に計画的に教育費を貯めておくべきでしょう。
また、幼稚園や小学生のときから、習い事などにお金をかけすぎないことは重要だと思います。
親がいくら熱心に英会話を習わせても本人にやる気がなければお金をドブに捨てているようなものです。
本当にその子にとって必要な投資なのかどうかを考えるべきでしょう。私も親から「勉強しなさい」と言われて勉強した覚えはありません。
私にはまだ子供はいませんが、本人が「やりたい」と言わない限り親のエゴで何かをやらせることはないでしょう。
教育費をかけたからといってそれに似合ったリターンが得られるとは限りません。
老後資金の準備は資産運用で
大型支出を減らして貯蓄を増やしても現在の日本では銀行に預けても預金金利は少なく、お金を増やすことは難しいのが現状です。
インフレになりモノの値段が上がった場合にはお金の価値が下がってしまいます。現在の預金の利息のみでは物価上昇には勝てません。
年齢を重ねると共に、お金を稼ぐことのできる時間も体力も減少していきます。それまでの間にお金を十分に蓄えておくことが必要です。
そこで、働いて自分でお金を稼ぐのはもちろんのこと、お金にも働いてもらうことが必要になるでしょう。
投資を始めるには多額の資金が必要だと考えている方も多いと思います。しかし、現在は100円から投資を始めることができる環境が整ってきています。その代表例がつみたてNISAです。
このように少額からでも分散投資が行えることは個人投資家にとっては非常にありがたいことです。
まとめ

会社員の給料は増えないことに加えて、そこから差し引かれる社会保険料は増加傾向にあり”手取り収入”が増えるのは厳しい状況にあります。
毎月の収入を無計画に使っていると一番必要なときにお金がたりないという事態になりかねません。 あまり考えもせずに親世代と同じようなお金の使い方をしていると大変なことになってしまいます。
そのためには、大きな支出を削減し、お金に対するこれまでの発想の転換が必要になるでしょう。そのためには、以下のことが必要です。
- 住宅は持ち家に拘らず賃貸住宅を選択肢に入れる
- 車は「所有」から「使用」という考えを持つ
- 保険にはなるべく入らない
- 教育費は必要以上にかけすぎない
- 老後資金は資産運用を通して自分で準備する
お金に困らない人生は将来の選択肢を増やすことのみならず、人生を豊かに暮らす可能性を膨らませることができます。
ただし、お金を増やすことは手段であり目的ではありません。
何でもかんでもお金を使わないようにするのでは、単なるケチな人になってしまいます。お金が貯まっても、人としての魅力がなくなってしまいます。